広大なラ・マンチャ平原の南側にいくつかの山脈に囲まれた大きな渓谷があり、この地形から「石の谷」を意味する名前で呼ばれるバルデペーニャスがあります。この土地のワイン造りは長い歴史をもち、19世紀から20世紀にかけて首都マドリッドでとくに愛飲されていました。夏暑く、冬厳しい大陸性気候で、センシベル(テンプラニーリョ)を主体とした軽やかな赤ワインが多いのですが、若飲みタイプだけでなく、レセルバやグラン・レセルバといった熟成タイプのものも造られています。長期熟成したワインのコストパフォーマンスが非常に高いのも長所のひとつです。
カスティーリャ・ラマンチャの南部に位置するDOバルデペーニャスは、ハバロン河が東から西に横切る22,000ヘクタールの産地で、ブドウ畑には樹齢100年の古い樹が残り、2500人の熟練したブドウ生産者が存在します。
DOバルデペーニャスが公式にワインの法令で定められたのは1932年ですが、この地でのワイン造りの歴史は紀元前5世紀にまで遡ります。科学的な調査によれば、まさに今の産地でその頃のワイン造りが行われていました。
1968年にDOバルデペーニャスの最初の規定が定められ、その内容は2009年までそのまま受け継がれていました。その後DO委員会はブドウ栽培家と醸造家(ワイナリー)はお互いが緊密に協力できる専門的な体制を作り上げ、よりユニークな品質を求めたワイン生産とプロモーションを行うようになりました。DOバルデペーニャスという一つの地名から成るDOですが、実際には10の市町村がそこには含まれています。
バルデペーニャスのワインは非常にユニークで、スペインのほかのどの地にも見ることのできない特徴を備えています。極端な気温の差と、2500時間にのぼる年間の日照時間という環境の中、しっかりと逞しい低木のブドウ樹から選ばれ、限られた量のブドウだけが収穫されます。
このユニークな環境(テロワール)とこの地方の年季の入った伝統的なワイン製法(通常この地方の家族で代々受け継がれている)により、とても良く成熟したブドウ樹から、深みのあるリッチな色合いで、極上の骨格を持つ力強いブーケのワインが生まれます。
樽熟成をしたグラン・レセルバやレセルバとクリアンサからフレッシュでアロマティックな若いワインまで、DOバルデペーニャスのワインは100か国以上に輸出されており、その評価は最高のヴィンテージを求める人の期待を常に上回り、またどんなタイプの料理にも完璧にマッチするものとなっています。
出典:スペイン大使館経済商務部